2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

本の紹介 鈴木道彦『余白の声 文学・サルトル・在日――鈴木道彦講演集」閏月社、2018年 すでにいくつか書評も出ているようだが(朝日新聞、週刊読書人、他にもあるかもしれない)、ここでは私独自の視点から評してみたい。私は在日コリアンと日本人の関係に関…

本の紹介 小川さやか『チョンキンマンションのボスは知っている――アングラ経済の人類学』春秋社、2019年 久しぶりに人類学者の本を読んだ。私は経済人類学にはなじみがないので、本書の真の評価はできないのだが、それでも著者が筆達者であることはわかる。…

本の紹介 山根実紀『オモニが歌う竹田の子守唄――在日朝鮮人女性の学びとポスト植民地問題』インパクト出版会、2017年 読後の感想は、あまりに倫理的すぎる、これに尽きる。本書は若くして逝去した著者の遺稿集で、多面的な活動を展開した著者のすべてを網羅…

本の紹介 岡真理『ガザに地下鉄が走る日』みすず書房、2018年 著者はアラブ文学とパレスチナ問題の専門家で、私はまったくの門外漢ながら、著者の『記憶/物語』や『彼女の「正しい」名前とは何か』を読み、著者の繊細で文学者らしい感性に感心した記憶があ…

本の紹介 目取真俊『ヤンバルの深き森と海より』影書房、2020年 一言で言うなら、深い怒りに全編覆われた書物、ということになろうか。私にとって目取真氏とは、鋭い刃をヤマトゥンチューに突き付ける論客であり、その印象は本書を読んだ後でもまったく変わ…